Fate/Zero第11話「聖杯問答」雑感

後生の歴史に名を残す伝説の王たちが、酒杯を傾け互いに王たる資質を問う聖杯問答。この忘年会……もとい、鼎談会は映像的には少々地味であるものの、それぞれが王としてのプライドを賭けた譲れない戦い。信条とする王道がまったく異なるがゆえの白熱した討論は、ある意味で宝具を用いた対決よりも激しいバトルなのです。

「王とはな、誰よりも強欲に、誰よりも豪笑し、誰よりも激怒する、清濁含めて人の臨界を極めたるもの。そう在るからこそ臣下は王を羨望し、王に魅せられる。一人一人の民草の心に、“我もまた王たらん”と憧憬の火が灯る!」

私としましては、やはりイスカンダルの王道こそに「然り! 然り! 然り!」と賛同を示したくなります。民草を慰撫するのではなく、導くことが真のリーダーであると。日本の政治家に、最も欠けている資質じゃないでしょうか。

「人は王の姿を通して、法と秩序の在り方を知る。王が体現するものは、王とともに滅ぶような儚いものであってはならない。より尊く不滅なるものだ」

アニメでは何故かこのセリフはカットされていましたが、セイバーの主張も一理あるどころか、また1つの真理なんですよね。臣民の鑑となるべく誰よりも清廉であり続け、国家に使役することを厭わない姿勢は実に尊い。ただ、「後悔」を口にしている時点で、やはり王としては暗君なのかなぁと。王を信奉して身命を擲った仲間たちのことを思えば、「後悔」は絶対に口にしてはいけないセリフだと思いますので…。

救国の思いを胸に、我欲を捨て一身総て理想に殉じたアーサー王(セイバー)が、孤高のまま非業の死を遂げ、暴君として勝手気侭に振る舞ったはずのイスカンダル(ライダー)が、死して尚臣下の忠義に支えられている皮肉。必ずしもライダーの哲学が正しいとは言えませんが、王としての格付けはライダーに軍配が上がるとしか言いようがありません。

肉体は滅び、その魂は英霊として世界に召し上げられて、それでもなお余に忠義する伝説の勇者たち。時空を越えて我が召還に応じる永遠の朋友たち。

彼らとの絆こそ我が至宝! 我が王道! イスカンダルたる余が誇る最強宝具──『王の軍勢』(アイオニオン・ヘタイロイ)なり!!

ここは小説読みながら興奮で全身総毛立ちました。固有結界に集うは、イスカンダルを慕って馳せ参じた無数の勇者たち。愛馬ブケファラスで駆るイスカンダルと共に、数千もの軍勢が鬨の声を上げながら一斉攻撃を仕掛ける様は、尋常じゃない格好良さ!! 臣下との絆が「宝具」だなんて、イスカンダル最高すぎる~~!!

王とはッ──誰よりも鮮烈に生き、諸人を魅せる姿を指す言葉!
すべての勇者の羨望を束ね、その道しるべとして立つものこそが、王。故に──!
王は孤高にあらず。その偉志は、すべての臣民の志の総算たるが故に!

私が何よりも映像化を待ち望んでいたシーンだけに、その迫力を篤と目に焼き付けたかった……のですが、な~んか思ったより普通な感じでしたねぇ。悪くはなかったんですけど、壮絶なクォリティで驚かせてくれたこれまでの戦闘シーンと比較すると、もっと頑張れたんじゃない? という思いが拭いきれなくて。

不満は聖杯問答まで遡り、作画のだらしなさと、飛び飛びのセリフにイライラ。アーチャーなんてずっとダンマリだったじゃないですか。セイバーの稚拙な願望に対するアーチャーの哄笑が丸ごとカットされていたなんて信じられない。セイバーにしても、ライダーの強弁やアーチャーの侮辱に対して無言で押し黙ってしまうから、ものすごく情けなく見えましたよ。原作だと、もっと気丈に抗弁していたのに。これじゃあ、ライダーに「小娘」だとバカにされても仕方ないです。

あと、間諜に徹していたはずのアサシンが突然総攻撃を仕掛けてきた理由も語られず。アサシンを捨て石にしてでもライダーの実力を測りたい時臣の思惑から、難色を示すアサシンを令呪にてムリヤリ戦いにけしかけたというのが真相ですが、その説明は一切なし。こういう杜撰な脚本はマジで勘弁して欲しい。

尺が足りないから……なんて言い訳は、前回「凛の冒険」といった不要なオリジナルをねじ込んでいる時点で通用しませんよね。そのとき無駄に作画を頑張った反動で、本当に重要なはずの聖杯問答で息切れしているなんてあまりにお粗末すぎる…。常に最高のクォリティなんて求めていませんから、重要なところだけ気合い入れてくれませんか?

『Fate/Zero』 Blu-ray Disc Box Ⅰ

販売元:アニプレックス( 2012-03-07 )

定価:¥ 41,040 ( 中古価格 ¥ 6,265 より )

Amazon価格:¥ 20,300

時間:340 分

7 枚組 ( Blu-ray )


ABOUT

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
この記事のトラックバックURL
  1. 私はFateに関しては原作未プレイ、アニメは途中でリタイア、zero未読といった予備知識がほとんどない状態で見ていますので、面白いなぁと思って見ていますが、思い入れが強い人ほど評価が厳しいみたいですね。

    ブルーレイでカット部分は追加らしいですけど、それはちょっと違うよなぁと思いますがね。

    最近のアニメ雑感は完全にペルソナ4でデレ、Fateでツンとなってますね。

  2. 面白いのは面白いんですよ。ただ思い入れの強い回(8話・11話)に限ってシーンカットが目立つのはどういうことかと。ペルソナ4に甘くてFate/Zeroに厳しいのは、単純に期待値の違いですね。ペルソナ4も大好きですが、Fate/Zeroへの思い入れは段違いなので。まだまだ見逃せない名場面は多く残っていますよ!

    > ブルーレイでカット部分は追加らしいですけど、それはちょっと違う
    「バグを出しても後から修正パッチ出せばいいんでしょ?」的なエロゲメーカー思考。後で修正するからといって、最初は適当でも許される道理はございません。

  3. 虚淵作品は言葉で魅せるのが特徴なので、アニメ化の時点で不安はあったんですが、まあこんなもんだろって感じで及第点(70点)で評価しています。

    > ブルーレイでカット部分は追加らしいですけど、それはちょっと違う
    そのカット部分がちゃんとしたものならいいのですけどね・・・・・

  4. 虚淵さんの作品は、おどろおどろしい内容と裏腹に、文章は実に洗練されていて美しい言辞で彩られていますね。アニメにおいて、その魅力が伝わらないもどかしさはあります。

    現時点でアニメの点数をつけるとすれば、私は85点ぐらいですよ。でも、原作のFate/Zeroは優に100点を超える傑作なんで…。

  5. はじめまして、レビュー時折拝見させて頂いております。
    今回の11話ですが私も我慢ならず投稿、

  6. はじめまして、レビュー時折拝見させて頂いております。
    今回の11話ですが我慢ならず投稿、私も同意見です。

    いっそAパートとBパートで2話分割してくれても良かったのでは・・・
    ちょうど物語の折り返し的な場面だと思うので、もっとしっかりやって欲しかったですね。イスカンダルの固有結界で強引にストーリーの温度上げてしまうような流れはいかがなものかと。

    原作を知っている方も知らない方も「???」の回だったと思います。
    今後の展開にも不安を感じてしまったのは私だけでしょうかね・・・

    余談ですみませんがレビューみてLOVELY×CATION買いました。
    おもしろかったですよ!

  7. 初めまして~、なでしこやまと管理人の浅生です。

    聖杯問答はどう考えても1話の中に収めるのは無理があるので、2話に分けてしっかりやるべきでした。

    というか、原作も丁度聖杯問答で第2巻の終わりなんですし、聖杯問答を12話までやって1クール目を綺麗に終わらせるのがフツーでしょ。次回は3巻の冒頭を少しやって1クール目終了? 変な終わり方になるなぁ。

    >レビューみてLOVELY×CATION買いました
    ありがとうございます~。LOVELY×CATIONは、今尚追加データが配信され続けているのが嬉しいですね。まだクリスマスと正月にも配信あるみたいですし。すごいなー。