Fate/Zero第9話「主と従者」雑感

全身の自由を失い、魔術回路は破壊され、頼みの令呪もソラウに移管された。今や何も残らぬ空蝉と化したケイネスに対し、それでもランサーの忠誠心は揺るがない。かつて主君への忠義を貫けず生涯を閉じた苦い悔恨から、サーヴァントとして再び現界した此度こそ、生前果たせなかった忠節を全うしようと誓いを立てた気高き騎士道精神の持ち主なのです。

しかし、何ら見返りを求めず、ただ忠を尽くすことが望みと言い張るランサーに不気味さを憶えるケイネスの気持ちもよくわかります。王を裏切り妻を寝取ったという消せない過去がディルムッドにある以上、警戒心が晴れないのは宜なること。両者どちらが悪いというわけではないだけに、この擦れ違う主従の関係は見ていて切なくなりますよ…。

マスターの地位を簒奪するため、躊躇なくケイネスの小指を折り、冷酷に恫喝してくるソラウさんに興奮……もとい、恐怖。一方でランサーの前では媚びた女の顔になるので「最低だ」と詰る人も出てきそうですが、彼女も望まぬ相手と婚約が定められた不自由な身ですからね。自分の愛した人と添い遂げたいとの願いは、本来咎められるものではないはずです。

ウェイバーの機知でキャスターの在処を突き止めたライダー組は、威風あたりを払い敵の拠点へと乗り込む。そこで目の当たりにしたのは悪夢のような死屍累累の殺戮現場。ここはFate/Zero最大の凄惨さを誇る場面で、BDであろうと絶対映像解禁できないシーンだと思います。

ウェイバーの想像力の程度では、あくまで死体とは人体の残骸であり、破壊の果てにあるモノでしかなかったのだ。だが今、彼が目の当たりにした光景は、それより先の領域にあった。(中略)

ここには『破壊された残骸』など一つもない。すべてが創作物であり、芸術だ。ヒトとしての生命、ヒトとしての形骸は、その工芸の過程において無意味とされ切り捨てられた──それが、ここで起きた殺戮のすべてだ。

人間家具、人間衣料、人間楽器、人間食器が立ち並ぶ、悪趣味と呼ぶには生温い餓鬼畜生の所行。……本当は、このときまだ何人か生き残りもいたんですよね。しかし、「あの有様じゃ、殺してやった方が情けってもんだ」とライダーがまとめて荼毘(だび)に付してやったのです。

征服王として暴虐の限りを尽くしたイスカンダルでも、人倫に悖(もと)るキャスター組に対する義憤はあり、惨たらしい死体を見て涙ながらに吐瀉(としゃ)するウェイバーを慰める優しさも持っている。私も思わずもらい泣きというか、ライダーの温かい言葉には不覚にも涙が滲んできましたよ…。やっぱりライダー組は主人公チームだわ~。

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