Fate/stay night [Unlimited Blade Works]第25話「エピローグ」雑感+総括

聖杯戦争終結から2年、魔術協会の総本山であるロンドン時計塔に招かれた凛と、そのお付きの士郎。背が伸びてグッと精悍さが増した士郎君は、アーチャーの雰囲気に近付きました。凛もトレードマークであったツインテールの髪型をストレートに近いワンサイドアップに変え、大学生らしい大人っぽさを湛えてますます優雅に美しく。いやぁ、理想的な美男美女カップルですなぁ

原作にはなかったオリジナル脚本によるエピローグということで、逆に蛇足に感じるんじゃないかと不安視する面もありましたが、この士郎君&凛の成長した姿が見られただけでも、その価値は大いにあったと言えますね。これはFateファンにはたまらないでしょう。ただでさえファム・ファタールな凛がますます自分好みに成長してドストライクですよ。

他にも、ルヴィア(ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト)やウェイバー(ロード・エルメロイⅡ世)を出演させるなど、Fateファンならテンションが上がらざるを得ないサービスの数々。

護身術のレクチャーという名目によるプロレス(ルヴィア)VS八極拳(凛)の異種格闘技戦も、意表を突かれて面白かったです。こんなどうでもいい戦いまでしっかり気合入れて作ってしまうufotableさんは生真面目というか。ルヴィアの「エ~クセレント! まさにゴリラ! ミス・ゴリラ!」のセリフには爆笑。

ルヴィアに散々痛めつけられた凛が、士郎君に膝枕されながらナチュラルに甘えていたシーンは身悶えました! 子供をあやすように、優しく彼女の顔を撫でていた士郎君も最高! こういう2年間の歳月を感じさせる描写すごく大事よ!!

ファンディスクなどで一度完結した物語の後日談が描かれる作品は珍しくないですが、本編の延長として、本編と変わらぬノリをただ繰り返しているだけのものが非常に多いんですよね。でも私が後日談に求めるのは、本編からの“変化”なんですよ! 本編で初々しい男女の付き合いを描いていたなら、後日談で描くべきものは、お互いを知り尽くした感のある年季の入ったカップル像なんです!

女子のスキンシップに顔を赤らめていた初心な士郎君が、すっかり女子の扱いに手慣れていて、ツンデレヒロインとして素直になれなかった凛が、今こうして素直に心を開き彼氏に身を委ねている。本編から2年後という設定の中、見た目の変化と共に、その年月の経過を感じさせる2人の関係性の変化に、ニヤニヤさせられます。ああ、この2人のイチャつきだけをずっと見ていたいー!

「士郎を真人間にして、思いっきりハッピーにするのが私の野望なんだから」

ちゃんと原作のエンディングも忘れずにやってくれました。この凛のセリフもすごい好き。アーチャーは衛宮士郎の未来の姿ではありますが、それは1つの可能性。凛が彼と添い遂げ、士郎君が誤った方向に向かうことを正してくれれば、将来彼はやさぐれアーチャーにならずに済むのです。だから、凛は士郎君を思いっきり幸せにしてあげようとするのですね。

総括


ufotable版のFate/stay nightが真作とすれば、かつてDEENさんが手掛けた劇場版Fate/stay nightは出来の悪い贋作でした。しかし、「偽者が本物に敵わない、なんて道理はない」というUBWの理念そのままに、両者を比較してufotableが優れていたとは断定できないのが悲しいところ。本来これほどのクォリティ差があれば、圧倒してほしかったんですけど…。

前代未聞の2週連続1時間スペシャルという幕開けで、初回からかつてないほど気合が入いっていたアニメだけに、ちょっとハードルの上げすぎたことが後々の弊害になっていた感はありますね。アーチャーVSランサーの凄まじいバトルに、「最初でこのレベルなら、士郎VSアーチャーは一体どうなるの!?」と期待が際限なく膨らみましたから。

実際、3週に渡った士郎VSアーチャーは作中で最も気合が入っていた箇所だったと思いますが、その力の入れ方が悪い方向に向いていたのが残念。あれもこれもとやりたいことを全部注ぎ込もうとして、無駄に演出に懲りすぎてしまったがゆえに、バトルとして大事なスピード感とダイナミズムを失っていました。

原作のような活字媒体の作品なら、掘り下げて掘り下げて深みを見せることが面白さに繋がりますが、テンポが重視される映像作品においては無駄と感じる重みにもなっていました。Fate屈指の名場面を、作者自らが敷衍したくなる気持ちはわかりますけど、ここはオッカムの剃刀でむだ毛処理してほしかったです(あれでも相当削ったあとらしいですが…)。

終盤は愚痴が増えましたが、やっぱりFate/stay nightは大好きな作品で、UBWは大好きなルートで、遠坂凛は大好きなヒロイン。エピローグの新規シナリオは嬉しい誤算で楽しめましたし、全体的には満足の行く素晴らしい作品でした。10年後にもう一度リバイバルしてほしいですね(笑) ジョジョみたいに20年ぐらい寝かせた方が、古さが逆にいい味を出してくれるかも?

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  1. Fate/stay night 第25話(終) 『エピローグ』 あれから二年…二人はロンドンに居た。

    これは嬉しい。何故なら卒業して士郎と凛がロンドンに行った後の話は原作ゲームになかったから。こちら後々作られたものだからです。当然アノ人とかコノ人もまだ設定されてなかった…

  1. こんにちは。

    最終話がまるごとエピローグなのは驚きましたが、駆け足で締めに入るアニメが多いのでこういうまとめ方は良かったですね。24話でアーチャーの笑顔が出てきた時は来週何すんだべ?と不安になりましたが。

    なんだか最終話まで見てきて、結局のところ今回のシリーズのメインはバトル以外の「登場キャラの人間としての部分」だったような気がします。視聴者がバトルものとして見ちゃった結果、求めるものと噛み合わない部分が出来てしまった、みたいな。
    タイトルがタイトルなのでバトルで手を抜くわけにはいかないし、キャラの背景や人間性が出てくるパートを引き立てる為にバトルシーンを頑張ったら、全体的にアンバランスに見えてしまった、と。

    あと今さらですが、アーチャーってホントは士郎を助けに来たんですかね?
    ゲーム版プレイ中とかは、普通にグレたアーチャーに対して士郎が自分の可能性を証明する、みたいに思っていたのですが、今回のアニメ版を見ていて、むしろエミヤが士郎を自分と同じ道を辿らないように軌道修正しに来たように見えたんですよね。もう一度自分の理想を見つめ直せ、凛がいてもこのままでは駄目だ、的な。
    で、そうすると士郎vsアーチャー戦のあの感じも納得しやすいかと思います。もっと先へ行くため、正しい最期を迎えるために絶対に必要なことの一つだったとすれば、士郎が自分の理想と向き合う過程としての戦いなのでああいうバトルシーンもありなのかなと。他の語るべきことがない相手には黙々と斬りつけていたわけですし。
    もしかして、アレ、スポ根だった・・・とか?

    途中、何度か中だるみというか微妙な感じになりましたが、なんだかんだ最後がキレイだったので私的にも全体的に印象が良くなってしまいました。俺、単純だわ。

    どーでもいいですが、士郎の膝枕、向きが少しエロいと思いました。

    • 24話はラストとして文句なしの締めでしたから、そこからオリジナルで25話やるなんて絶対無謀だと感じていたんですけどね…。本当は総括でもっと手厳しい意見を書き連ねるつもりでしたが、最後こんなに素敵な終わり方されると、批判しにくくなっちゃった(笑)

      ですが、やっぱり10点付ける気満々だった士郎君とアーチャーのバトルが4点・5点止まりだったのは大きなマイナス。肝心なところで空振りしてしまったのは、取り返しのつかない痛手でした…。

      >エミヤが士郎を自分と同じ道を辿らないように軌道修正しに来たように見えた
      私は最初からそれに近い解釈で、アーチャーは元々衛宮士郎が憎くて殺したいとか、自分が救われたいとか、そういった思いは二の次で、「自分のようになるな」という警告を発したいがために衛宮士郎に近付いたと考えていました。まぁ、実際に話し合ってみてあまりに分からず屋すぎたら、多分容赦なく殺していたでしょうけど。

      なので、ガチの殺しあいではなく、説教主体のバトルであったのは間違いないんですが、それでも自分の理想を信じ抜くためにアーチャーは超えなくてはならない壁だったのですから、士郎君側に手緩さが感じられるのはよろしくない。アーチャーは多少舐めプレイで構わなくても、士郎君はもっと貪欲に倒しに行く姿を見せてもらいたかったです。

      >士郎の膝枕、向きが少しエロい
      そういうのを気にしない2人が、より親密さを感じさせてくれますよ~。

    • 私が初めてFateに触れたのはPS2版だったんですが、アーチャーが理想を追い続けた結果守るべき人々に裏切られて死んだってところから、セイバーを見送って心が壊れかけたままの士郎が色々こじらせて英霊になり「間違いを無くす=士郎を消す」というような妄執みたいなものに囚われていて、それを凛を相方にした士郎が戦って目を覚まさせるみたいな話だと思い込んでいたんですよね。
      まぁ、考えたら二人とも正義の味方なんだし、そもそもアーチャーはおかしくなってなかったんですよね。

      たしかに士郎はもっとガツガツいかなきゃいけない立場ですよね。でも乗り越える気はあっても倒す気があったかどうか。明らかに自分が一番弱いのにおかしなことを言い出す子ですしね。
      あれがそういうのを考慮して狙った表現だったかどうかは分かりませんが、バトルそのものは案外するっと受け入れられたんですよね。少しずつ追いついて、追い越すみたいな感じもよく出ていたし。
      回想のはさみ方やザッピングの仕方は残念だったのでその辺整理して、テンポと間を重視したアクションで表現できていれば完璧だったんでしょうけど。

    • アーチャーに悲哀を感じるのは、途中で道を違えたわけではなく、理想のままに己が道を邁進したのに思い描いた理想に辿り着けなかったところですね。だから、別にアーチャーはおかしくなったわけではないですし、完全に否定できるものじゃないのがやるせないです。

      >士郎はもっとガツガツいかなきゃいけない立場
      そこが一番残念だったかなー。DEEN版(劇場版)の士郎君は気迫に溢れていて、すごくイメージ通りの戦いを繰り広げてくれていただけに、どうしても物足りなさを感じてしまいました。まぁ、DEENさんの士郎君は気迫に溢れすぎるがあまり、「武器の貯蔵は充分かー!」と叫んで怒られていましたけど(笑)

      >テンポと間を重視したアクションで表現できていれば完璧だった
      なんだかんだで映像的なクォリティでは圧倒していたんですし、難しく考えずに派手で迫力あるアクションに傾倒してくれれば、それだけで私を含む視聴者は絶賛していたと思いますよ。“回想シーンの多様”は、小説・ゲーム畑のシナリオライターが陥りやすい悪癖ですから、アニメ化する際は注意してもらいたいです。

  2. こんばんは。
    最終話エピローグ、浅生さんと同じく蛇足なのでは?
    前回で終わっておいたほうが綺麗だったのでは?と
    ハードル下げ下げで低めに視聴したのですが
    オリジナルで綺麗にまとめてくれて嬉しい誤算でしたね〜

    私は実は凛ちゃんがあまり好きではなかったのですが
    (浅生さんごめんなさい!;;
    この成長した姿にはばっちりときめいてしまいました。
    ツインテールニーソの苦手要素がなくなって
    大好きな黒タイツになったのもありますが…

    前の凛ちゃんは我が道をとにかく歩く!という感じだったのが
    二年後は士郎君を後ろから支える
    包容力あふれる感じになってステキです。

    途中色々不満な事はありましたが
    (あらためて見るとみんなトドメを刺す手前で見逃すの多すぎ!とか
    終始ハイクオリティな映像で
    楽しかったな〜と思います。

    • 最終話エピローグというより、新作Fateのプロローグのような構成だったので、「もっとFateの続きが見たい!」という良い意味での未練が残りました。Fate/hollow ataraxiaもこれぐらいの時代設定でやってくれていたらな~。

      >(遠坂凛)成長した姿にはばっちりときめいてしまいました
      遠坂凛大好きといっても、さすがに10年前のテンションには遠く及びませんでしたが、この大学生バージョンの遠坂凛は、10年前のテンションを取り戻しそうなときめきがありましたね。

      2年後の遠坂凛はすっかりデレデレ状態でしたが、彼氏に依存しきってしまうわけではなく、士郎君と良い共存関係を築き上げていたのも嬉しい。

      >ツインテールニーソの苦手要素がなくなって大好きな黒タイツになった
      え~! オタクなんて、ツインテールでニーソでミニスカなら誰でも簡単に釣れるはずなのに!!(笑)

  3. このルートは私にとってエミヤvs士郎のシーンがほぼ全てだったので、アニメはただただ残念の一言になってしまいました。
    21話だけでも作りなおして欲しいですよ本当…
    他にもBGMがまほよの人にしてはイマイチで何も記憶に残らなかったのも悲しい。

    てことで私にとっては全体的には良かったんですが、まさに画竜点睛を欠く今回のアニメ化でした。

    • うーん、そうなんですよね。アーチャーと士郎君の戦いが、UBWの眼目、まさしく画竜点睛でした。そこがイマイチだったのでは、アニメ化の意義そのものが問われるんですけど、そこ以外は最高のクォリティで毎週楽しませてもらっていたので、全否定してしまうのも忍ばれる…。

      今の正直な気持ちとしては、プラスの方に傾いていますので、なんだかんだで良いアニメだったと思っています。

ABOUTこの記事をかいた人

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。