ばらかもん総括

今期アニメ(2014夏)で一番面白かったのが、この「ばらかもん」です。島の子供たちに囲まれて過ごす愉快な田舎暮らしは、悠久に続いて欲しいと願う素敵な時間でした。

ジャンルを分類すれば「日常系」になるのでしょうか。ただ日常系というと、何も前進することない怠惰な日々を過ごしているだけのアニメというイメージが強いので、ばらかもんをそれに当てはめたくない気持ちがありますね。島という新たな環境の中で、書道家として技術的にも精神的にも日々成長を遂げていく主人公半田清舟の成長物語でもありますから。

確かな書の実力の持ち主ながら、メンタル面で非常に脆さを持つ彼は、1位が取れなければふて腐れ、思い通りの字が書けないと泣き言ばかり。でもそんな子供っぽさが、島の子供たちとすぐに打ち解け合える親しみやすさにもなっていて、とても愛すべき主人公でありました。

もう1人の主人公である7歳の女の娘、琴石なるも大好きです。元気で溌剌とした子供らしい可愛らしさに、思わず目尻を下げてしまいますよ。彼女の声は本職の声優ではなく、小学生の子役が演じているのですけど、これがまたすごく上手で実にいい味を出しているんですねー。長崎県の方言を駆使する極めて難解なキャラなのに、こうも見事に演じきることができるなんて。

なるやひなといったメイン級だけでなく、モブの悪ガキに至るまで、子役は全員素晴らしい演技をしていて脱帽。昔の子役なんてどいつもこいつも棒読み演技しかできなかったものですが、今の子役はみんな引くほど演技が達者。2000年以降に生まれた子供の有能さにつくづく驚かされます。日本の未来は明るい!

ばらかもんの得も言われぬ楽しさは、小学生のなる&ひな、中学生の美和&珠子、高校生のヒロ兄と、異なる年代の男女が分け隔てなく一緒になって遊ぶという、田舎ならではの土壌にあると思います。都会育ちにはなかなか経験し得ないことですので、こういった環境に潜在的な憧れがありますよ。

私が美和と珠子の2人に異様に惹かれるところがあるのも、なるやひなといった小さな子供の面倒を見る上で、彼女たちは自然とお姉さんっぽさが強調されている点が大きいのかな。主人公にとってはまだまだ中学生の子供でも、小学生のガキどもには良きお姉さん。そんな子供っぽさとお姉さんっぽさの二律背反が、他のヒロインには見られぬ魅力となっているのです。「よつばと!」のあさぎと風香がめちゃくちゃ惹かれるのも同じ理由ですね。

ばらかもんは素晴らしく文句の付け所のない作品であったといいたいところなんですが、不満点がまるでなかったわけではなくて、アニメのテンポの速さだけは最後まで気になりました。アニメの後追いで原作漫画を全巻揃えたのですが、アニメは1話につき大体原作エピソードを3つほど詰め込んでいるんですね。それゆえ展開が忙しなく、せっかくの田舎のスローライフ感が台無しになっているんです。

もう1つの弊害が、複数の話をぎゅうぎゅう詰めにしたことで、内容まで大幅にカットされていること。最もがっくりきてしまったのは、ラス前の11話、別れを告げずに半田先生が突然姿を消してしまったとき、島に残されたなるたちが嘆き悲しんでいたシーンをごっそり削ってしまったところですよ…。この感動的なシーンは絶対削っちゃダメでしょと。

ここのエピソードには、ひなの泣き虫は実は先生を試すためにわざとやっていたという、幼女ながら末恐ろしさを感じる衝撃の場面もあったのに、そこもまとめてカットとは度し難い。ひなの髪型をセットする話もやってくれなかったですし、ひな絡みのエピソードがことごとく削られていたのが納得いかないですよ!(ひな好きなんで)

1クールではなく、2クールで尺に余裕を持ってやってくれれば、きっと文句なしの名作になっていただけに惜しい。抜け落ちたエピソードの補完も含めて、早めに2期をやってもらいたいものですね! 子役の声が成長して変わってしまう前に!(笑)

ばらかもん 第一巻【昼の部】イベント優先申し込み券封入 [Blu-ray]

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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