ボールルームへようこそ第24話「ボールルームへようこそ」雑感+総括

原作が終わっていないアニメの最終回は難しい。中途半端なところでブツ切りになったり、アニメオリジナルで急につまんなくなったり、とかく消化不良のまま終わりがち。本作は途中で原作を追い抜く異例のアニメであっただけに、余計“終わり方”は難儀だったはず。それが、こんなにも素晴らしくて美しい、理想的な最終回だったことにただただ感無量! なでしこやまととして、最後のアニメレビューとなる作品が「ボールルームへようこそ」で本当に良かった…!(いや、まだラブライブ!が残っていますけど)

心置きなく絶賛できる理由は、最後の力を振り絞って、作画が意地を見せてくれたこと。ダンスシーンがいつもの止め絵を並べた紙芝居ではなく、アニメーションとして、実にきびきびと流麗に動いてくれました。特にスピード感溢れるクイックステップは圧巻。聴き馴染みのあるSing, Sing, Singのアップテンポな曲に乗せて、多々良君と千夏が、釘宮さんと井戸川さんが、これでもかと躍動する!!

華麗な足捌きで小刻みにジャンプを入れながら、豪奢なドレスをたなびかせ、颯爽とフロア内を駆け回るダイナミズム。想像を上回る高速のダンスは、息を飲むほどに格好良く、迫力満点でした。やはりクイックステップの凄みは、アニメーションでなければ伝わりませんね~。社交ダンスのリアルな魅力が、初めてダイレクトに伝わってきた瞬間だったかもしれません。

釘宮「なんでダンスなんかやってるんだろうな…」

成長が伸び悩み、思うような結果が出ず、次第に自暴自棄となって、交通事故に見舞われたときは、「これでようやくダンスがやめられる」とまで思っていた釘宮さん。それが懸命なリハビリを経て、また再び競技ダンスの世界へと舞い戻ってきました。

釘宮「ダンスの引力が働いた。ダンスが俺を離してくれなかった。面倒な世界だ…」

口振りこそ悪態をついていますが、決勝の舞台で踊っているときの釘宮さんの表情はこの笑顔。嫌気が差しているダンス。やめたくてしょうがなかったダンス。そんなダンスを、この上なく幸せに満ちた笑顔で踊っているところにグッと来ましたよ…! やっぱり釘宮=ツンデレキャラだったんだなって(笑)

多々良「僕は、ダンスと出会ってしまった。こんなにたくさんの人が、僕を見てくれている。自分ではない人が、見てくれているからこそ、僕はここにいられるんだ! 見ろ、見ろ、見ろ、僕を……見ろ!!」

多々良君は、どうして自分が社交ダンスを始めるようになったのか改めて振り返ってみたものの、その答えは出なかった。しかし、こうして衆目の中で存分に踊るダンスの快感を知ってしまった今、もうそれを「なかったこと」にはできない。観客の視線を独占する喜びと、大きな喝采を浴びながら最後のダンスを踊り終える。

そして、結果発表。決勝進出者6人が下位から順に表彰され、残されたのは多々良組と釘宮組の2組。どちらかが優勝でどちらかが準優勝。私も最後の最後まで勝者は誰なのか読めなくて、展開としては釘宮組優勝の方があり得るかな……ぐらいに思っていました。多々良組は惜しくも準優勝止まりでも、まだまだ伸びしろがありますから。

しかし、優勝したのは多々良組!! 荒削りながら革新的なアプローチを魅せた多々良組が審査員に好感し、見事に半数以上の1位票を獲得して、都民ダンススポーツ大会を公約通りの優勝! 喜びを爆発させた千夏は、歓喜のあまり多々良君の頬に熱烈なキス!! うひょーーーー!!

千夏「あたしのせいで優勝できなかったら、カップル解消してあげてもいいって言ったでしょ? これであの話はナシね! 覚悟はできてる!?」

うわぁー! このセリフはヤバイ! ドキドキする! 「優勝できなかったら解放してあげる」という脅し文句が、優勝を遂げた今、「私から解放してあげない」という意味にすり替わりました。これはもう結婚するっきゃない!!(笑) 突然大胆な告白を受けた多々良君が狼狽えることなく、「勿論」としっかり返していたのも格好良すぎる~! 2人は最高のカップルですね! 両方の意味で!

実力や完成度で上回っていながら、ジャッジの印象論で後塵を拝する結果になってしまった釘宮組は、非常に悔しくて、納得いかない部分もあるでしょう。それでも釘宮さんは、表立って不平不満を漏らすことなく、素直に結果を受け入れた。静かに涙を流しながら…。やっぱり釘宮さんも、心底勝ちたかったんだな、心底ダンスが好きだったんだなという想いが伝わってきて、私ももらい泣きしてしまいました。最後には、多々良君と握手して称えていた釘宮さんは、最高のグッドルーザーでしたよ。

井戸川「戻ってきただけでアンタはすごいよ。これからも続けるんでしょ、ダンス。……タバコはやめなよ?」

負けて悔しがる釘宮さんを、慰めて、励まして、身体を気遣う井戸川さんの優しい言葉。こちらもガチ夫婦感が出ていて素晴らしいな(笑)

正直、私は釘宮組の方に感情移入していて、彼らを勝たせてあげたかった思いが強かったので、主人公多々良君が勝利したことに悔しさの感情もあります。でもよく考えると、もし釘宮さんが優勝して多々良君が涙していたら、「多々良君たちに勝たせてあげたかった」と悔しさが残っていたでしょう。結局、どっちが勝っても嬉しくて、どっちが勝っても悔しい。それぐらい、両者共に応援したくなる魅力があったのです。あ~、もう2組同時優勝にして、オナーダンスは釘宮さんと多々良君のペアで踊れば良かったのに!(笑)

改めて、こんなにも素晴らしく、こんなにも美しい、理想的なエンディングを迎えられたことに感無量です。アニメはここで終わりますが、原作はまだまだ続くはずですので(作者が病気がちなのが心配ですけど)、これから先の多々良君たちの活躍は、原作の方で楽しませてもらいたいと思います。今年一番の素晴らしい作品を、どうもありがとうございました!

★今週の緋山千夏★


普通、アニメのヒロインを賞賛する言葉って、カワイイとか萌えとか魅力的とか、そういった言葉を用いるのが一般的ですけど、千夏は何よりも「いい女だなー」という実感が強い。アニメのヒロインで、「いい女」と称される存在ってなかなかいないと思いますよ。それも若干16歳のJKに(笑)

千夏は、ただ男にとって都合のいいだけの女ではなく、時に厳しい言葉を投げかけ、衝突を繰り返しながらも男の成長を促してくれる。雫が当初の面影を感じなくなるほど、多々良君が見違えた成長を遂げたのは、千夏という「いい女」のおかげ。彼女としては若干面倒臭くても、奥さんとするなら最高の女性じゃないですかね!?

総括


常に優秀な回が続き、アベレージとして極めて高水準にあった「ボールルームへようこそ」でも、「文句なしの神回!!!」と呼べる爆発力がある回は意外と少なくて、これまで評価で10点満点をつける回は1つもなかったんですよね。

本心としては満点をつけたくとも、予算の都合なのか、肝といえるダンスシーンでの動きに乏しく、いつも止め絵の連続で紙芝居になっているダンスシーンが続いていたのが残念で…。伝説のユーリ!!!レベルまでは求められませんが、「ここぞの場面ではもう少しアニメーションで頑張ってほしい!」という渇望が強くありました。

そういう意味で、最終回はやっと本懐が遂げられたという気分。このまま最後まで「動かないダンス」で終わってしまうとだいぶ印象も悪くなっていただけに、ラストに意地を見せてくれたのは嬉しかったです。アニメーションする「ボールルームへようこそ」は、何1つ欠点のない完璧な神アニメですね。

王道スポ根アニメである本作が、他の作品でなかなか見られない異質さを見せていたのは、ヒロイン役が次々と交代していくこと。私は雫がメインヒロインだとばかり思い込み、★今週の花岡雫★というコーナーまで作っていたのですが、中盤に真子ちゃん、後半に千夏と、次々新しい女が出てきてメインヒロインの座が変遷していったのは誤算でした(笑)

感覚としては、ジョジョの奇妙な冒険に近かったかも? 最初の主人公ジョナサンがすごく好きだったけど、ジョセフに交代した第二部は更に面白くて、そのジョセフと交代した第三部の承太郎は、もっともっと面白かったという。「これ以上の主人公(ヒロイン)はいない!」と思えたところから、更にハードルを越えてくるすごさ。私にとって緋山千夏は、塗り替えたワールドレコードを更に塗り替えたスペシャルなヒロインでしたよ。

さすがにもう千夏以上のパートナーは出てきようがないと思いますので、多々良君もここらで身を固めてくださいね! これだけ千夏と心を通い合わせる関係になれたのに、次の大会であっさり別の女とくっついていたらショックだなぁ(笑)

「ボールルームへようこそ」は、作中で恋愛要素はほぼなかったのに、社交ダンスにおけるカップルの関係が完全に恋人同士のそれでしたので、自分としてはラブコメ作品としても大いに楽しめました。パートナー同士、全員付き合ってるとしか思えません。そもそもダンスってセックスのメタファーですよね?(笑) ダンスが噛み合わなくてケンカになったり、逆にケンカしていたのがダンスによって解決したり。男女の営みとしか思えなかったですよ~!

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  1. ▼記事▼:『ボールルームへようこそ』は惜しかった。

    レビューしていませんが。見ていたアニメの1つに「ボールルームへようこそ」があります。先日めでたく最終回を迎えましたが、凄く面白かった。じゃあ何故レビューをしなかったかと…

  1. 自分が言いたい感想は全て語られているので、「見事な最終話だった」とだけ。

    エピローグだと尊敬する国枝先生のダンススタジオを再開しているので、
    敗れはしたけど収穫も限りなく多い釘宮さんも色々と救われた大会だったのかな、と。

    それにしても…ちーちゃんがその場の勢いで強引にペア結成した時もそうですが、
    パパもウェディングドレスまで視野に入れていて、
    その上今回の公衆の面前で頬にキス……『外堀から埋めていく』のが緋山家の伝統スタイルなのでしょうか(笑)

    • うわっ、エピローグで釘宮さんが国枝先生のダンススタジオを継いでいたのは、言われるまで気付いていませんでした…。今、改めて感動しております(遅い)。

      釘宮さんは多々良君とあらゆる面で正反対で、ライバルキャラとして完璧なキャラでした。また再戦も見てみたいですし、今度は釘宮さんの教え子が、多々良君のライバルになったりしても面白いですね。

      >『外堀から埋めていく』のが緋山家の伝統スタイル
      早くも家族公認で、千夏本人もぐいぐい来るタイプですから、多々良君の知らないところでどんどん話が進んでいそうですね(笑) 若いうちにすぐ結婚して、緋山家のように子だくさんの家庭になりそうです。

ABOUTこの記事をかいた人

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。