ボールルームへようこそ第22話「リーダーパートナー」雑感

えだちゅう先生こと、国枝忠先生との偶然の出会いから始まった釘宮方美の社交ダンス人生。右も左もわからず始めた習い事でも、素質は相当なものがあったようで、1年目で早くも強化選手に選ばれるほど、釘宮少年は若くして将来を嘱望される存在に。しかし、期待の新星も次第にその輝きは失われ、仙石要・兵藤清春といった怪物めいたダンサーと対峙していくことで、次第に影に埋もれていく…。

釘宮が伸び悩んだ原因は、師である国枝先生に指導力がなかったから。彼の志向するダンスはオールドスタイルで、現代にそぐわない古臭いダンスが、釘宮のポテンシャルに蓋をしてしまっていた。その責任は他ならぬ国枝先生が誰よりも痛感しており、釘宮の交通事故を契機に兵藤ソシアルダンスアカデミーへの移籍を薦め、自らのダンススクールを閉鎖することに。

どんなスポーツ漫画(もしくは格闘漫画)でも、その道に進むことを決定付けてくれた最初の師って、必ずと言っていいほど有能な師なんですよね。その筋では有名な名伯楽で、師を信じて薫陶を受けることで、主人公は超一流の選手へと成長していける。最初に結ばれた師弟関係の固い絆は、生涯揺らぐものではない。

ただ、現実的には最初に出会った師が有能ではない場合も当然あるわけで…。むしろ、いきなり最高の師と出会える方がレアケースでしょう。国枝先生は人間性は申し分ないけれど、悲しいかな指導力は不足していた。釘宮自身、ダンスを教えてくれた国枝先生への感謝はあり、全幅の信頼を置いていましたが、今より上を目指すのであれば、どこかで彼と決別しなくてはならなかった。そんなやるせない悲哀を突きつけられるエピソードが、胸に刺さりましたよ…。

思えば、多々良君も本格的に競技ダンサーを目指すと決心したときに、ダンスを始めるきっかけとなった小笠原ダンススタジオを辞めて兵藤ソシアルダンスアカデミーに移籍していますし、「ボールルームへようこそ」は極めてリアル志向のシビアな作品だと言えますね。一流スポーツ選手として羽ばたくためには、恩を捨ててでも、次のステージに身を移さなくてはならない時がある。本当は、他のスポーツ漫画でも、こういう描写を増やさないといけないのかもしれません。

幼少時代の釘宮さんは目がくりくりの可愛らしい少年だったのに、どうしてあんな負のオーラをまとうやさぐれた大人になったのかと不思議に思っていましたが、こんなヘヴィな生い立ちがあったのなら納得(笑) 退院した直後のボロボロ加減は、若かりし頃の面影がまったくなくて笑いました。

心が締め付けられるような回想録で、ついつい心情的に釘宮組を味方してしまいそうになりますが、ここに来て多々良組もようやく調子を上げてきました。クロックアップされた身体を多々良君が少しずつ制御できるようになってきて、千夏もその出力に合わせて運動量を上げてくる。カップルとしての動きは見違えるほどによくなり、2人の一体感は最高潮に達して、今や千夏の体重でさえも自重と感じられるほど。いよいよ本領発揮で、いざ釘宮組と真っ向勝負という感じ。

結果はどうあれ、多々良君と千夏はこの先離れられなさそうなほど絆が深まりましたから、2人の関係が今回限りってことはあり得ないでしょうね。男女としてもさっさと交際して、公私ともにパートナーになってくれることを願うばかり(笑) そういう未来が待っているなら、今回は釘宮組に後れを取ったとしても許せます。

★今週の井戸川民絵★


釘宮さんの過去が明らかになって、バックボーンを知ることができたのは重畳でしたが、こうなると釘宮さんのパートナーである井戸川民絵さんのことも気になります。木訥としてまったく女っ気がない彼女も明らかに常人じゃないオーラがあって“訳あり感”がすごい(笑) そんな彼女も、大会では釘宮さんと並んで絵になる華やかなべっぴんさんに化けるのがいいね。

TVアニメ「ボールルームへようこそ」第1巻【Blu-ray】

販売元:ポニーキャニオン( 2017-11-29 )

定価:¥ 10,584 ( 中古価格 ¥ 3,499 より )

Amazon価格:¥ 8,090

時間:97 分

2 枚組 ( Blu-ray )


この記事のトラックバックURL
  1. ちーちゃんはむしろここまで絆が深まった分、もし多々良がまたパートナー変わるような展開なら
    事故で死亡や再起不能になりそうで怖いのです

    • 次々と新たなパートナーが登場するのが面白いところだったとはいえ、さすがにもう多々良君のパートナーが代わる展開は考えにくい…。事故や死亡なんかはなくても、これでダンスを引退することにはなるでしょうね。

ABOUTこの記事をかいた人

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。