ボールルームへようこそ第17話「表現者」雑感

怒り心頭で多々良君に暴言を撒き散らしていた千夏も、1人になるとベッドで泣きじゃくり、「多々良に、パートナー解消されちゃうかも…」と愛想尽かされることを心底怖がっていました。言葉と気持ちが裏腹な乙女心が愛おしくてしょうがない。ツンデレという安い言葉では語り尽くせない、稀有な魅力を持った最上のヒロインですよ~。

頑なに心を閉ざして引きこもる千夏をどうやって連れ戻すのか、それはそれは難しい問題でしたが、デリカシーゼロの清春は、無断で彼女の部屋に立ち入り、力任せに引っ張り出すという最低なやり方で解決(笑) でもこういうのって、時間が経てば経つにつれ、どんどん気まずくなって戻りにくくなるものですし、有無を言わさず引っ張り出したのは、もしかしたらベストな解決法だったのかも?

再びダンスフロアに連れ出した多々良君と千夏に目隠しプレイ……もとい、ブラインドダンスを清春は指示。これは女性側が視界を閉じて、完全に男性のリードに身を委ねるというもの。手本として清春と雫がやってみると、目を瞑っているとは思えないほど自然で華麗なダンスを披露。視覚が封じられている分、神経が研ぎ澄まされて、互いの快適な領域が伝わりやすくなるという。

しかし、多々良君と千夏が見様見真似でやってみても、まったくもってダンスにならない。お互いの信頼関係が未熟なせいもあるでしょうが、体内に流れる時間感覚がバラバラなせいでもある。カップル同士、脳内でルーティンを想像し、終わった瞬間に挙手するというテストを行ったときも、兵藤組は2分のワルツバリエーションがピタリ同じタイミングだったのに対し、多々良組は1分のバリエーションでも5小節もズレていた。生まれ持った個々のリズムの違いを、どのように修正していけるのか。

ストーリー的にギスギスした息苦しい展開が続く中で、張り詰めた緊張を解してくれる貴重な温泉シーン(笑) 普段は、こういった露骨な視聴者サービスに走るアニメに厳しい私でも、ボールルームへようこそは許せる!! ていうか、嬉しい!! 登場人物が揃ってダンサー体型で、手足長く、細身ながら筋肉質なのがいいよね~。マリサ先生は、もはやポルノスターというべきダイナマイトな肢体でしたが。

千夏「多々良はちゃんと踊れてた?」
真子「はい! それはもう……素晴らしいリーダーさんでした」

これは千夏の自尊心を砕く一言。千夏は多々良君のリードの拙さを問題視していたのに、過去にカップルを組んだ真子とは問題なく踊れていたというのですから。悪いのは自分ではないのかという劣等感と、以前の彼女と比較されているという屈辱感。千夏としては、どちらかというと後者の方が気に食わなかったようで(笑)

千夏「舐めんじゃないよ! 比べてたくせに!」

お土産で選んだ帽子が千夏と被ったときは「真似しないでよ!」と怒っていたくせに、注文した料理が真子と被っていたら「まぁー、趣味が合いますこと」と嫉妬剥き出しで怒る。ちーちゃん、超絶面倒臭いです(笑) 多々良君の立場だったらリアルにムカつくでしょうが、第三者として見ている分には、こんなに楽しいことはないですね! 犬も食わない痴話喧嘩にニヤニヤ。

「私、自信を持てないせいで意志を示せず、いつの間にかお兄ちゃんを孤立させて、追い込んだんです…。実際問題、私と兄のカップルバランスは良くないですし、いつかは踊りについて行けなくなって怪我をするかもしれません。でも、今の日本を見渡しても、私以外兄に相応しいパートナーがいないから、私がしっかりしないと!」

千夏の面倒臭さと比べると、真子の純真さに心が洗われる~。常に兄の顔色を伺って、自信のなさから自己主張ができなかった真子ちゃんが、多々良君とのカップルをきっかけに、「私よりも兄に相応しいパートナーはいない」と豪語できるほど強くなれたことが嬉しい。可愛らしさの中に逞しさが芽生えて、ますます真子ちゃんの魅力がブーストされていますよ!

千夏(きっとこの先、多々良以上に私に向き合ってくれる男なんていない。この組は、私のラストチャンスだ!)

だけど、やっぱり私は千夏がいい。カップル解消をちらつかせて多々良君に脅しをかけていましたが、カップル解消を誰よりも嫌がっているのは千夏自身。面倒な自分にめげずに向き合ってくれる彼に内心では感謝しており、これ以上の男はもう二度と現れないとまで思い込んでいる。「ここで結婚できなければ私は生涯独身」と覚悟しているようなものですから、どれだけ多々良君に対する愛が深いんだって話ですよね(笑)

されど結果が出なければ、この先2人の関係に未来がないことも事実。「今度の都民スポーツ大会で優勝できなければ、カップル解消してもらっても構わない」という宣言は、千夏にとって本心でなくてもブラフでもないはず。退路を断ち、覚悟を決め、2人の気持ちを1つにさせる、背水の陣のつもりなんでしょう。千夏は本当にいい女です。今回で完全に惚れ込んでしまいました。

★今週の花岡雫★

多々良「みっともないけど言うよ。僕は、花岡さんたちと戦いたいなんて思ってない。自分の実力以上のまぐれを期待するほど、僕はダンスを舐めてない。ただ僕は、君たちと同じフロアで踊りたいんだ! 君たちのことが好きだから! どうしても印象に残りたくて!」

雫に追いつき追い越せではなく、印象に残るだけで満足なんだという健気さ。多々良君は本当に純粋な憧れだけで、清春と雫のカップルを見ているんだなということが伝わってきますね。雫には、それを“野心的”だと受け止められたみたいですが(笑) 確かに、自分の踊りを他人の記憶に植え付けるっていうのは、捉え方によっては、勝ち負け以上にハードルの高いことです。

「人を幸せな気持ちにさせたり、心をえぐってトラウマを植え付けたり、衝撃だよね。見る者の心になにかを刻んでくる表現者がいるなんて。私、今でも藤田君のワルツ、忘れてないよ。すっかり私の踊りの一部になってるの。数々の大好きなダンサーの素晴らしい踊りたちと並んで。私にとって、貴方は謎」

柔和な笑みを浮かべながら、目を見つめて語りかけられた意味深なセリフにドキドキ。褒め言葉ではないのかもしれませんが、多々良君にとってこれ以上にないほど嬉しかった言葉だったのは違いありません。

TVアニメ「ボールルームへようこそ」第1巻【Blu-ray】

販売元:ポニーキャニオン( 2017-11-29 )

定価:¥ 10,584 ( 中古価格 ¥ 6,900 より )

Amazon価格:¥ 7,866

時間:

2 枚組 ( Blu-ray )


この記事のトラックバックURL

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。