ばくおん!!総括

若者のバイク離れを食い止めるべく、美少女という餌でオタクを釣って、バイクの素晴らしさを啓蒙しようとする薄汚い魂胆が見え隠れするアニメ……だと初めは思っていました。実際にはまったくの逆で、もうバイクへの悪口がひどいのなんの(笑) 今までバイクに興味ゼロだった私ですら、そこまで貶すことないだろう! と擁護したくなるほどに。

このアニメを見るまではバイクのバの字も知らず、日本にはHONDA・YAMAHA・SUZUKI・KAWASAKIの4大バイクメーカーがあるという一般常識レベルの知識すらありませんでした。だから、バイク愛好者の中にメーカー信者が存在している事実も知らなくて、同じバイクを愛するライダー同士、みんな強い絆で結ばれているものだと思っていたら、まさかこんな風に他社のバイクを否定しあう醜い争いがあったなんて…(笑)

特にSUZUKIのバイクは、不当なまでに虐げられていて不憫すぎる(笑) ことあるごとにダサイダサイと連呼され、「すべてのバイクは自由で平等。ただしスズキを除く」とまで差別される始末。まぁ、SUZUKI乗りの鈴乃木凜が弄られキャラであるので、実際のSUZUKIのバイクがそんなに悪いわけではなく、かなり誇張された表現でディスられていたのだとは思いますが…。ゲーム会社でいえばSEGAみたいな立ち位置でしょうかね。

それでも、GSX750Fカタナを名指しして、車体がフグみたいだの、ヘッドライトがバカボンのお巡りさんの目だの、カタナという名前がだせぇだの、アニメの中で容赦なく悪口を並び立ててくるから恐ろしい。これほど自社のバイクがボロカスに叩かれていながら、アニメの協賛に加わっているSUZUKIは神だと思う。なんて心の広いメーカーでしょうか!!

特定車種に対する批判だけでなく、バイクそのものに対するネガティブキャンペーンもひどくて、バイクにつきまとうデメリットを強調するようなシーンがとても多く目立ちました。

最終回で“バイクが存在しないifの世界”が描かれていたのが象徴的。バイクの存在を唯一憶えている主人公の羽音が、必死に仲間たちにバイクの必要性を説き始めるものの、仲間たちにはまったく羽音の言葉が響かず、「移動したいなら車でいい」「重いエンジンを乗せるなら4輪の方が合理的」「シートベルトもなくて危険」「オートバイってネーミングが変。最後のクはどこ行ったんだ」といった数々の正論をぶつけられて、バイクなんてこの世に不要なものだと真っ向から否定されてしまう。

結局、それは夢オチで終わったんですが、何がすごいかって「バイクなんて不要だ」という批判に対して、何ら明確な反論が示されなかったこと。「いやいや! ○○だからバイクは必要なんだよ!」といったフォローがなく、「夢で良かったー」で終わっているので、根本的には何1つ解決していない(笑) ここが「ばくおん!!」の異端のセンス。

不便、面倒、転倒、危険、冬寒い、すぐ故障など、バイクの欠点をまったく包み隠そうとせず、その上でバイクの長所についてはこれといって語られることもない。あまりにバイクの悪い部分ばかりがフォーカスされるので、作者は本当はバイクのことが嫌いなんじゃないかとも勘繰ってしまったぐらいですが、今となってはここに作者の深~いバイク愛が隠されていたんだと気付かされます。

重要なのは、世の中にはそんなバイクをこよなく愛する人たちが大勢いるという事実。作中のキャラクターたちも歯に衣着せぬ物言いでバイクを盛大にディスってはいますが、バイクへの愛情は揺るぎないものがある。つまり、バイクの数多い欠点を認めた上で、それでもバイクを好きになる特別な魅力があるということ。言葉では語られない理屈を超えた何か。メリットだのコスパだのの次元とは懸け離れた何か。作品でバイクの短所を論えば論うほど、バイクの見えない魅力が浮かび上がってくるようです。

そして、これだけバイクを悪し様に自虐できるのは、「好きなものは好き」だと言える確固たる愛情がバイク好きの中にあるからなんでしょう。他人にどれだけ筋立ててバイクを否定されようと、デメリットも全部受け止めて好きだと言える愛は強い。「バイクはバカにしか乗れない」という言葉の重みを感じました。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. アニメは全く見てないので何なのですが、
    正しく、古き良きオタクとかマニアって感じがして良いですね~。
    最近は愛の無いバッシングを過剰にするタイプか、
    やたらと過敏に批判を嫌う人かの2通りが多い気がします…。

    • バイク好きのスタンスが古いオタクと同じというのは、言い得て妙。元来オタクは虐げられるもので、オタク趣味は理解されないもの。それでも自分は好きだからしょうがないと肯定できるのがオタク。

      今は変にオタクが市民権を得てしまったことで、批判に対して過敏になったり、打たれ弱くなってしまったところはあるかも…。自虐することが正しいとは申しませんが、周囲の批判も鷹揚に受け入れて、それでも愛を持てるオタクでありたいですね~。