坂道のアポロン第12話「オール・ブルース」雑感+総括

行方を眩ませた千太郎の消息が掴めぬまま8年。研修医となった薫が院内で百合香との久々の再会を果たすと、1枚の写真から千太郎の居場所を知る。そこは離島のとある教会。薫はおもむろに礼拝堂のオルガンを弾き始めると、その呼びかけに応えるように千太郎は姿を現し、8年の月日を超えて再びセッションが始まる。

場面が急に8年後に飛んだのはびっくりでしたね。大人になって見違えた薫と千太郎はマジでイケメンすぎ!! 薫は髪が伸びてグッと色気が出てきましたし(韓流スターっぽいけど)、千太郎のオールバック神父はたまらんですよっ! 言峰綺礼然り、神父は極悪面がよく似合う!

女性陣の百合香さん&律ちゃんもいい年の取り方してますよね~。アニメキャラって、年を重ねても見た目も髪型も若い頃のままだったりするのが不満なんですけど、坂道のアポロンはしっかり年月の流れと成長を感じさせてくれる。一瞬「えっ!?」と思わせる大胆な変わり様でも、面影がちゃんと残っているのが素晴らしい。

教会のオルガンでジャズをやってのけるシーンはただただカッコイイ…。静謐であるべき厳かな空間で荒々しいジャズの音色が飛び交うってところに痺れますね。まさにバチあたりジャズ。

一度は離ればなれになってしまった薫・千太郎・律子の3人も、最後は導かれるかのように一堂に集い幕。終盤ハラハラさせられっ放しの物語でしたが、最後は綺麗なハッピーエンドでまとまって良かったと思います。アニメだけ見てきた人にとっては、とても満足行く終わり方だったのではないでしょうか。

……チョット嫌味な言い方になってしまったのは、どうしても原作のラストと比べると「こぢんまりまとめたな~」という感想になっちゃうからなんですよねぇ。

アニメは薫が高校卒業してから医師になるまでの間、つまり大学生編がすっぽり抜け落ちている状態ですので、やっぱり不満はあります。そこでは、母親との再会、律子との文通、ジャズ研への入部、ジャズバーで淳兄とセッションなど、いろいろ見逃せないイベントがございましたので。

尺の都合上その辺は涙を呑むとしても、ラストの幸子の結婚式まで改変してしまったのは納得行かない! 教会内セッションも確かに素晴らしかったですが、最後は新郎新婦の門出を祝うべく、青空の下で奏でられた最高の演奏シーンを見せて欲しかった。

薫がピアノを、千太郎がドラムを、オヤジさんがウッドベースを、そして律子が歌を。

文化祭で果たされることのなかった幻のセッションが、せっかくここで実現されていたのに…。無念です。

総括

最初に危惧していた通り、やはり全9巻の原作を1クール12話に収めるというのは無謀でした。後半になればなるほどそのしわ寄せが出てきて、明らかに無理が出てくる展開に。

これなら薫が律子に二度目の告白をするところまでで終わらせた方が良かったんじゃないでしょうか? 7巻途中までなら、12話にまとめてもそれほど無茶な脚本にならなかったでしょうし…。

シーンのカットとは別に、気丈に涙を見せなかった母親がアニメではメソメソ泣き出したり、丸尾と時枝の2人が付き合っていなかったり、東京行きの列車の見送りで律子が別れの挨拶に来なかったり、百合香が懐妊していたり(そのくせ手紙の名前は旧姓のまま)、ちょこちょこ無粋な改変があったのも謎。シーンのカットはともかくとして、意味もなく事実を捻じ曲げるのはやめてもらいたい。

一方で、ジャズセッションの完成度は究極といえるほどに素晴らしいものでした。第1話からぬるぬると滑らかに動く作画に魅了されましたが、演奏シーンのクォリティは最後の最後まで衰えることがなかったのがすごい。

特に第7話「ナウズ・ザ・タイム」での感動は絶対に忘れられません。原作の魅力、スタッフの愛、ジャズの素晴らしさが三位一体となった奇跡の3分30秒。アニメ史に燦然と輝く名シーンです。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. 浅生さんが褒めていたので何気に7話を見たらドはまりしてしまいましたが原作を読んでいなかったのでまずまずのラストと思っていましたがやっぱり無理矢理まとめていたんですか…全話見ていても演奏シーンは相当力を入れていましたけどそれ以外は割と大雑把でしたからね…。でも楽しめたので良しとします。

    あと今期のアニメなんですが「夏雪ランデブー」をお勧めしようと。

    →http://natsuyuki.tv/

    花屋の未亡人に惚れた主人公と死別した旦那の幽霊との三角関係という浅生さんが喜びそうな(笑)設定で1話を見たら旦那の幽霊が非常にシュールで面白かったので見た感想が聞きたいですw

  2. 坂道のアポロンは恋愛漫画だと思っていますけど、アニメではジャズに力を入れていたのは正解だったと思います。おかげでストーリーはいろいろ犠牲になってしまいましたけど、ジャズシーンに力を入れる方針だけはブレなかった。

    それだけに、最後何故全員のセッションで締めなかったのかという悔やみきれない思い…。アニメ見ていた人だって、絶対律ちゃんの歌を聞きたかったはずですよ~!

    >今期のアニメなんですが「夏雪ランデブー」をお勧め
    原作未読ですが、めぞん一刻大好きな私がそそられる内容であるのは間違いないですね! ガードの堅い年上の女性を口説き落とすという設定だけで私は充分楽しめます。