坂道のアポロン第9話「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」雑感

“幼馴染と幼い頃に結婚の約束していたのに忘れていた”というのは、私の嫌いなエロゲ的お約束パターンなんですが、千太郎は律子の想いに気付いてから即座に行動に移した。相手に言わせようとするのではなく、自分から話を切り出したところは、ヘタレなエロゲ主人公と一線を画すものです。

千太郎「俺、今までお前の気持ちに気付かんで、知らんうちにいろいろ無神経なこと言うて、お前のことば傷つけてしもうたかもしれん」
千太郎「悪かった。でも…その…な…なんちゅうか、俺はお前の気持ちには…その…」

自身の鈍感さを深く反省した上で、律子の想いには応えられないことを述べようとする千太郎。そんな純真でまっすぐな男らしさが実に魅力的です。

少し前の律子であれば、この言葉に大泣きするほどのショックを受けていたに違いありませんが、今ではそれは千太郎の勘違いだと嘘で諌めるほどの余裕がある。

千太郎「……違うとか」
律子「…うん…違うよ」

この「違うよ」だけものすごく優しい言い方でたまらない!! 情感をたっぷり乗せた一言に、声優南里侑香さんの偉大さを感じました。

律子「鈍感な子には、一生教えてやらんもん」

か、かわいいいいいぃぃぃ!! 律ちゃんカワユス!! 控え目な性格なのに、千太郎にはチョットお姉さんっぽい上から目線で接するのが超萌える!

千太郎への気持ちにケジメを付けた律子。思いあまって捨ててしまった薫への編みかけの手袋を見つけるためゴミ箱を漁っていると、偶然居合わせた百合香さんが探すのを手伝ってくれる。

律子「一回…ひどく傷つけてしもうたから…」
百合香(振ったのね…)

手袋を捨ててしまった理由を問う百合香さんの的確な脳内ツッコミが好き。さすが百合香さんは大人(といっても高校生ですが)なだけあって察しがいいな!

薫「君が小さい頃から兄貴みたいに慕ってきた人だろ!? そんな人と…一生会えなくなるかもしれないんだぞ!」
薫「離れてからじゃ遅いんだ!」

一方で、淳兄と別れの挨拶をしようとしない千太郎に説教する薫。このとき女子みたいなビンタをする薫がカワイイ(笑) きっと、これまで人を殴った経験はほとんどないんでしょうね。

千太郎「冗談やなかばい。淳兄とは一回本気で勝負したかと思っとった」

淳兄と最後のセッション。仲直りもジャズなら、喧嘩もジャズというのがオシャレすぎる! 相手と腹を割ってコミュニケーションするのがジャズという手段なのか。

薫(これはもう掛け合いなんてもんじゃない。ふたりの本気の殴り合いなんだ)

早いテンポで演奏されるマイルス・デイビス「four」の激しさに圧倒されっぱなしで、競い合うように全力で音をぶつけ合う2人は、本当に殴り合いの喧嘩をしているよう! 淳一が見せたトランペットの指の動きヤバすぎます!

千太郎「今日のセッション、俺一生忘れんけんね」

涙声になりながら最後の言葉をかけた千太郎にグッと来ました…。南里さんに負けじと、細谷佳正さんも最高の名演技!

千太郎との別れを済ませ、東京へ向かう夜行列車に乗り込もうとした矢先、駅のホームで待ち伏せしていた百合香が立ちはだかる。さぁ、やってきましたよ、感動のシーンが~。

百合香「なぜキスまでしかしてくれなかったの? 指一本触れなかったのは、最初から別れるつもりでいたからなの!?」

ここ、原作では「私が誘っても指一本~」なんですよね。制服半脱ぎJKからエッチを誘われても頑なに手を出そうとしなかった淳兄の鉄の理性!(笑)

でも、そこまで百合香のことを大事にして、彼女を傷つけることを極端に怖がっていた淳一が、最後の最後で“暴挙”に出たのが感動的! そりゃあ、別れ際にこんな表情見せられたら、連れ去らないわけにはいかないですよね!? 男なら、ここは後先考えずに行動すべき場面! 私も心の中で「行け!」と叫んでいました。よくやったぞ淳兄!!

淳一「…はぁ…乗せちまった…。……どうしよう…」
百合香「どう…するの? もう発車しちゃったわ」
淳一「そうだな…。じゃあ着いたらまず部屋に行って、この伸びた髪でも切ってもらおうかな」

百合香さんのこの幸せそうな笑顔! 冷静に考えれば、これから2人には苦難の連続が待ち受けているでしょうけど、そんなものは後から好きなだけ後悔すればいい。衝動に身を任せて、今に殉ずる。後先考えずに行動できるのは若さの特権ですよ! ああ、駆け落ちは昭和のロマン!

これで淳一と百合香は一抜けしたカタチになりました。残る薫・律子・千太郎の関係も、律子と千太郎がお互い家族であることを選んだ時点で、事実上決着は付いたようなもの。混迷の一途を辿っていた複雑な恋模様も、整理されるときはこんなにもあっけないもんですね。

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