アイカツ!(3rdシーズン)総括

アイカツ!オールスターが集結した大スターライト学園祭が閉幕。大舞台を終えたばかりの大空あかり、氷上スミレ、新条ひなきの3人は、ルミナスとしての更なるチャレンジのため、「ルミナス☆ジャパンツアー」を企画して全国周遊を決意。その出発を記念したライブではメインメンバー6人が出揃う夢のステージが披露され、アイカツ!3rdシーズンは華々しく最終回を迎えました。

初期はプリパラと比較しながら見ていたせいか、アイカツ!の真面目で堅苦しいイメージに取っつきにくさに感じる部分もあったものの、アイドルを目指す彼女たちの純粋にキラキラとした美しさに魅了され、気付けばもう泥中……もとい、夢中。女児アニメだからと敬遠されている方も多いでしょうが(1年前の私がまさにそうでした)、「アイドルアニメを語る上でこのアイカツ!は避けて通れない」と断言できる珠玉のアイドルアニメです。

私がこれまでの人生で1ミリも興味なかったアイドルに近年急にハマりだしたのは、アイドルはスポーツの精神に相通ずるものがあると気付いたから。トップを目指す過酷な競争の中で、ストイックに己を高めながら、試合(ステージ)に臨むアイドルの姿はまさにスポーツ選手と重なる。贔屓のアイドルの成長を見守り、応援を送ることは、スポーツ選手の活躍を追っていく楽しさと何ら変わらないんですよね。

アイドル=スポーツという事実に気付いてからは、私もたくさんのアイドルアニメを拝見するようになりましたが、その精神が最も色濃く出ているのが、このアイカツ!だと言えます。アイカツ!は登場キャラクター全員が良い子で、誰一人悪人がいない逆アウトレイジの世界ですが、みんながお手々繋いで仲良しこよしという馴れ合いの世界じゃない。同じオーディションに挑むとなれば、親友同士であっても、譲れない気持ちで真剣に競い合う。そして、結果が出たあとは、互いを讃え合う。落選した悔しさを噛み締めながら、絶えず前向きに努力を続ける姿は斯くも美しい。そういった爽やかなスポ根の精神がアイカツ!には根付いているんですね。だから、スポーツを愛する人間ほど、アイカツ!の魅力は理解しやすいのではないかと。

アイカツ!は、普段の練習からしてスポ根ですから。普通、アイドルのトレーニングとして連想するのは、ダンスや歌唱レッスンといったものですけど、彼女たちは1に体力、2に体力。ランニングを中心とした徹底したフィジカルトレーニングで、筋力と心肺機能の強化に余念がないのが素晴らしい(笑) 華やかなステージの裏では、地道な練習で汗を流す。これぞアイドルの本流ですよ!

そんなわけですっかりアイカツ!に没頭してしまった私ですが、いくら興味を惹かれたといっても、1年間その興味を持続できるかどうかは別問題。プリキュアなんかは最初こそ新鮮なキャラの魅力に触れてハマれるんですが、物語半ばになると段々マンネリを感じ始めて、録画を溜め込むようになってしまう(丁度今がそう)。通年アニメは、どうしても中だるみの時期が出てきてしまうんですよね。2クールアニメですら途中でだれる飽き性のオタクを、1年間同じアニメに熱中させ続けるなんて並大抵の難しさじゃございません。

しかし、アイカツ!はその中だるみの時期に面白さを加速させていたのが見事でした。その秘訣は、折り返し地点となるタイミングで進級を迎えたこと。普通学園モノって、春の入学式から物語がスタートしてその1年を辿っていくことが多いんですが(少女漫画とか特に)、アイカツ!は秋スタートなので丁度半分が終わった頃に春の進級を迎えることになって。マンネリになりやすい時期に主人公を取り巻く環境がガラッと一新するため、そこで心躍る新展開が待っていたんです。

進級と同時に、前シーズンまでの主人公であった星宮いちごちゃんたちがツアーのために学園を去ったことも大きな変化。大空あかりちゃんを新主人公に据えて舵を切った3rdシーズンでしたが、2シーズン主人公を勤め上げたいちごちゃんの隠然たる影響力は計り知れず、どうしても序盤はあかりちゃんの存在が霞みがち。本人も偉大な先輩を前に萎縮している節があり、イマイチ主人公としてのオーラを感じられないもどかしさがあったんですが、いちごちゃんの庇護から解き放たれたことで、ようやくあかりちゃんが名実共に主役に躍り出ることができました

「目の上のたんこぶがいなくなったことで、のびのびと自分たちのカラーを発揮できるようになった」というと言葉が悪いですけど、進級をきっかけにあかりちゃんが真の主人公として花開いたのは事実。新人気分から脱却し、先輩としての自覚も芽生え、主人公として独り立ちすることのできたあかりちゃんは、存分にそのポテンシャルを発揮。ある意味、ここからがアイカツ!3rdシーズンの本当のスタートだったと言えますので、自分の中で面白さが一気に加速しだしたんですね~。

かといって、3rdシーズン最初の半年が無駄な時間だったかというとそうではなく、前シーズンまで主人公だった星宮いちごちゃんから、大空あかりちゃんに主人公の座が引き継がれる過渡期として、絶対に必要なものでした。むしろここで新旧主人公を上手く織り交ぜながら、上手に世代交代させることができた脚本の上手さを褒めたいですよ。

1st,2ndシーズンから見続けてきたファンなら絶対いちごちゃんの方に思い入れがありますし、いきなり主役の座があかりちゃんにバトンタッチされたとしても、すぐにはそれを認められないもの。もし3rdシーズンになって急にいちごちゃんらがお役御免と除け者にされたら、従来ファンから反感を買い、その不満の矛先が新たな主人公であるあかりちゃんに向けられていたはず。それはアイカツ!にとって不幸ですから、“急ぎすぎない世代交代”が求められていたんだと思います。

その信念は、あかりちゃんらが2年生になったときにも活かされていました。凛・まどかという後輩の1年生キャラクターを新たに登場させても、すぐには彼女たちを前面には持ってこない。ユニットを組ませるとしても、フレッシュな1年生同士で組ませるのではなく、先輩+後輩という組み合わせ。作り手としては、早く新キャラクターを押し出したい気持ちがあったでしょうが、既存のキャラクターを蔑ろにはせずに、少しずつ新規キャラクターを作品に馴染ませていく。新規ばかりにスポットライトを当てて、すっかり既存の影が薄くなってしまったプリパラ第2シーズンとは対照的でした。

新人を大々的に売り出すと「ごり押し」として忌み嫌われる時代ですから、この“急ぎすぎない世代交代”はとても大事なことだったと思います。スポーツの世界において、実力あるベテラン選手から期待の若手選手に切り替える世代交代は永遠のテーマですが、その正しい道筋をアイカツ!は示してくれたとも言えますね。やっぱり、アイカツ!はスポーツだ!

ギャグ回ベスト5

1,#122「ヴァンパイアミステリー」
2,#143「戦慄!?サマーアイランド」
3,#145「アツい夏祭り」
4,#140「アイカツレストラン」
5,#109「アイカツのアツい風!」

萌え回ベスト5

1,#118「みやびなアイカツ!」
2,#144「ドッキリアイドル大作戦!」
3,#136「その名もあまふわ☆なでしこ!」
4,#123「春のブーケ」
5,#126「ぽっかぽか♪オフタイム」

感動回ベスト5

1,#147「輝きのルミナス」
2,#125「あこがれの向こう側」
3,#150「星の絆」
4,#115「ほっこり☆和正月」
5,#151「ステージの光」

TVアニメ/データカードダス「アイカツ!」3rdシーズン挿入歌ミニアルバム2「Colorful Smile」 / Array / CD ( Music )

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  1. 3シーズンのMVPはジュリちゃんですよね
    序盤は先輩の印象が強すぎてキャラの薄かった新世代を支えていたのは彼女だと思います

    アイカツって、アイドルアニメの中でも大人キャラがすごいしっかりしてるんですよ
    出しゃばりすぎず、かといって放置でもなく前に出て
    生徒の不調をいち早く察知して適切な相手を用意してフォローする技術もあったり
    いつもおちゃらけたジョニーがスミレちゃんと化粧品メーカーに謝りに行く際
    正装して誠意を持った対応した時には痺れました
    スターライトがアイドル養成のトップクラスだってのは見ている視聴者にも伝わりますよ

    あとアイドルたちも、いい意味でリアリティが無い
    何か困難にたちあったときに、ドラマ性を重視して挫折したり欝になったりせず
    めげず腐らず、どうすればいいのか邁進する姿勢に心打たれるんですよ
    こういう子こそトップアイドルになれるっていうリアルがあると思います

    彼女たちが努力できる下地をしっかり作ってるスタッフはすごいですよほんと
    世代交代のゆるやかさもこのアニメスタッフこそのしっかり感がある

    ただ今日はプリパラがいろいろすごすぎて頭から変に離れない
    長文失礼しました

    • 序盤、全体的に真面目で大人しいイメージで、ややもすれば退屈さもあった中、紅林珠璃ちゃんは文字通りスパイスを与えてくれる存在でした。最初はあまりにアイカツ!の世界観から浮いている存在(当時)だったので、てっきり私立パプリカ学園からの留学生かと(笑)

      >ジョニーがスミレちゃんと化粧品メーカーに謝りに行く際正装して誠意を持った対応
      見ていますね~! 印象的なシーンでここを選ぶとはお目が高い! 締めるところはちゃんと締めるというのはどんな作品にとっても大事なこと。ジョニー先生と共に、アイカツ!という作品自体の印象向上にも繋がりました。

      >ドラマ性を重視して挫折したり欝になったりせずめげず腐らず、どうすればいいのか邁進する
      私はデレマスのようなドラマ性の高いものも好きですが、アイカツ!は常に前向きで 心洗われます。本当に“いい意味でリアリティがない”ところもアイカツ!の素晴らしさだと思います。

      >彼女たちが努力できる下地をしっかり作ってるスタッフはすごい
      キャラクターに愛がありますね。思いつきで動かしているんじゃなくて、ちゃんと考えあっての言動であるのが伝わってきます。

      >今日はプリパラがいろいろすごすぎて頭から変に離れない
      「頭痛がする…!!」ひびき様に初めて共感が持てましたよ(笑) 

  2. なんかもう私の言いたいことをすべて言い尽くしてくださったので、感想を読んだだけで胸が熱くなりました!

    アイカツ!は1年目から10月スタートだったので、今から思えば浅生さんの提唱する「秋スタートによる面白さ」って1年目からあったんですよね。1年目から1年間ずっと面白かったのは、それによるものも大きかったと思います。

    3年目の第1話でいきなり崖を登り出した3人に戸惑っていた浅生さんも、きっと今や胸を張って「崖登りはアイドル活動」だと言えることでしょう(笑)
    他のアイドルアニメと比べて「基礎トレーニング」の描写の多さは群を抜いていますよね。というか普通のスポ根マンガよりもよほど筋トレしてそう。スペシャルアピールの練習も、鏡の前でポーズをキメながら美しさを追求するよりも、ひたすらトランポリンで高さと安定感を求めていますから(笑)
    「1に走りこみ、2に筋トレ、3・4がトランポリンで5に崖登り」という究極の脳筋ですが、現実のアイドル、例えばi☆Risなんかを見ていても相当な量のフィジカルトレーニングを積んでいることが伺えますから、とりあえずテクニックの前に基礎体力を高めまくるアイカツ!のキャラ達の姿勢は、実はアイドルとして理想的な姿なのではないかとすら思えてきます。

    そんなストイックに、そしてどんな時も笑顔を決して忘れずに前を向き続ける彼女たちが本当に大好きですよ〜。最早アイカツ!なしでは生きられない体になっています。

    あと浅生さんの萌え回ベスト5のみやびちゃん率の高さに笑いました。確かにみやびちゃんも最高にらぶゆ〜でしたが!4年目のツアーでも出てきて欲しいですね。

    私のトップ萌え回は「ほっこり☆和正月」ですかね。それまでは普通に「超可愛い」と思っていただけのあかりちゃんが、激烈に可愛くて3年目の推しキャラトップに立った記念すべき回でした。この回はジュリちゃんも可愛すぎて最高でした。
    あかりちゃんと瀬名くんとの恋愛描写が思ったより少なかったのは、ラブコメ好きとしては少し残念なような気もしつつ、父親目線では少し安心したようななんともいえない気持ちになって戸惑っています(笑)

    • 秋スタートって時期的には半端だと感じていましたが、マンネリ防止の意味では大きな効力があったのだなぁと。まぁ、春スタートでもアイカツ!が面白かったことに変わりはなかったと思いますので、そこが本質ではないのですけど。

      個人的に大きな心残りなのは、秋スタートで冬映画だったため、その3ヶ月の間ではアイカツ!の素晴らしさを完全に理解しきれておらず、最初の劇場版を観に行かなかったこと…。この極めて重要な映画をのほほんと見逃していた暗愚な自分に腹が立ちます(プリパラに夢中だったんで…)。こんな私に、本来アイカツ!の良さを偉そうに語る資格などありませんよ!

      ぐだぐだ言わずに今すぐBlu-rayで映画を見ろって話なのですが、1stシーズンから見ると決めたことですし、それが全部見終わるまで、映画は取っておくことにします。

      >鏡の前でポーズをキメながら美しさを追求するよりも、ひたすらトランポリンで高さと安定感
      まだまだあどけなさの残る中学生の彼女たちが、これだけ地味でハードな基礎練習に明け暮れているところに頭が下がります。

      でも、スミレちゃんが真面目な顔して「スピードも足りない…」と呟いていたのはさすがに吹き出しました。自分らに足りないものを高さとスピードと自称するアイドルがシュールすぎて!

      >どんな時も笑顔を決して忘れずに前を向き続ける彼女たちが本当に大好き
      多種多様なアイドルがひしめく時代ですが、どんなアイドルでも突き詰めてしまえば、この“前向きな笑顔”が本質ですよね。卯月も悩んでいるなら、あれこれ考えずにとにかくランニングですよ! 走って、走って、崖登りゃあ、悩みなんか吹っ飛ぶ! 何も持ってないなら走ろう!

      >トップ萌え回は「ほっこり☆和正月」
      萌え回に入れるか感動回に入れるか迷いました。両方入れればよかったですが。私がアイカツ!の見方が変わってきたのって実際この辺だったので、ターニングポイントとなる回であったことは間違いないですね~。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。